unextで見た映画の感想

unextという動画配信サービスで見た映画の感想を中心に書いていきます。

フューリー

ブラピが主演のvsナチスの戦車戦映画。

私が女だからか、個人的に登場する男性陣は全員クズで好感度が誰にもない。でもキャラクター的にはカッコいい人も、切ない人もいた。

もともとは普通の人だった彼ら……戦争なんだから彼らがああいうクズにならざるを得ないのは仕方ないことなんだ。

 

◾️いいところ

・対戦車戦(打ち合い、まるで剣客同士の戦いみたいな一対一のバトル。決闘みたい)

・思ったより頑丈な戦車

・見たことのなかった戦車の内側の様子。

・いちばん危険な場所にリーダー(ブラピ)が座って指示する(戦車長ポジ)のカッコいい!

・ノーマンが捕虜射殺を断固拒否してブラピと取っ組み合いの団子状態になって引き金を引かされるところ(仕方なくではなく断固拒否して暴れまわる男の子っぷり)

・ノーマンを助けてくれるのがSS(作中で一番の敵)の若い兵

ナチス側も祖国のためにというし、「奴ら(ドイツ)はなぜ降伏しないんだ」と憤る上官に「大尉なら?」というブラピ

・ブラピが戦争前からドイツ語ができる、聖書をかなり読み込んでいる(普段は知ってそうに見えない)、アフリカから戦地を転線してきた、自分の戦車にフューリー(激怒)という名前をつけている……ことから察すると相当相当相当に嫌な経験ばっかりして我慢して我慢して我慢してここまで来たベテランと思われる。ノーマンに捕虜を殺させるシーンやSSへの強い怒りはそういった過去が行動させるのだろう。

 

ナチスドイツのデザインにみんな心惹かれるのは、軍服をファッションとしてカッコよくデザインしようという意思でカッコよくデザインしてるから、カッコよく見えて好きになっちゃうのはしょうがない。それを細身長身金髪でインテリっぽい美形のお兄さんが着ちゃうんだからカッコよくないわけがない。


◾️良くなかったところ

・民家の女性とのシーン

自分の家に敵国の汚らしい兵隊が上がりこんでくることに嫌悪感を抱かない人がいるだろうか

・ラストバトルが戦車戦じゃなくもはや籠城戦でドイツ兵が「技術<<<<<<数(しかもばか)」なところ。SS大隊のはずなのに。

・いや、森に隠れてやり過ごして体制整えてから再出撃できるでしょ。玉砕覚悟って日本軍なの、君たち米軍でしょ。


たった数日で純粋な青年ノーマンが戦争ハイの中で人が殺せる人間になっていく。

彼の中でだんだんドイツ兵を殺していい理由が蓄積されていき、チームの中で同じ戦う男として認められる嬉しさ(「陸軍へようこそ」「最高の仕事だ」)、仲間(最初は異常に見えた)との連帯感や上司への尊敬から戦争で人を殺すことが肯定されていく。

しかし、最後にノーマンの命を救った(気付いたのに見逃してくれた)のは敵のSS(作中最大の敵であり嫌悪相手)の若い兵。

 

あれは初期のノーマンなんだよね。

自分はたった数日で変わってしまった。

それが正しいことだと思い込んで自分を守ろうとしていた。あれほど嫌悪し憎悪した価値観に染まり、いつの間にかいかれていた。そうしなければ生きられなかった。

 

おそらく、ドイツ人の少女が死んだ時に早く戦車に乗れと言ってノーマンから「人の心がないのか!」的に反発された兵士は、かつてノーマンと同じように理不尽な戦争に怒り苦しんで来たんだろう。だから仲直りの時に言ったのは、かつての自分に謝ったように思える。

 

ノーマンも無抵抗の兵を殺すことをよしとしない自分(SSの若い兵)に救われる。

人を殺していいことの、否定。

戦争を男の最高に誇らしい仕事、と描きながらも最後に全否定する。やっぱり人を殺せない方が正常だと。

 

英雄と讃えられて救出されたノーマンの心に去来するものは、失った仲間のことよりも失った「自分」への思いだったのではないだろうか。

 

unextでUコインやUポイント(有料)ではなく、見放題(月額費用内)の方で視聴できました。